Q.メバロチンを投与し、筋肉痛やCK(CPK)上昇を認めた場合、投与継続・投与中止の判断について教えてください。

A.

メバロチン投与中の筋肉痛やCK(CPK)上昇は、重大な副作用の一つである「横紋筋融解症」の前駆症状の可能性があります。患者さんの観察を十分に行い、必要に応じ投与を中止してください。 
筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれた場合には、直ちに投与を中止してください。
特に、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者さんでメバロチンとフィブラート系薬剤を併用する場合には、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいため、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用してください。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止してください。

参考までに、スタチン関連筋症状(SAMS)*1やCK上昇への対処について記載された資料から、抜粋して示します。

〈スタチン不耐に関する診療指針2018〉1)
スタチンによる筋有害事象の評価は、SAMSの有無と血清CK値に基づき4つの区分(カテゴリーA、B、C、D)に分けて対策をたてる。
①カテゴリーA:血清CK正常上限4倍未満かつSAMSなし。正常あるいは検査データだけの異常であり、スタチン継続が可能である。
②カテゴリーB:血清CK正常上限4倍以上 正常上限10倍未満かつSAMSなし、あるいは血清CK正常上限4倍未満かつSAMSあり。軽度の筋有害事象である。患者がSAMSを許容できれば、スタチンを継続、あるいは減量して継続することが可能である。ただし2~4週間後に再度評価を行う。カテゴリーA、Bであれば治療継続可能であるが、カテゴリーC、Dに悪化するようであれば治療は中止する。また患者がSAMSを許容できない場合には、中止し4~6週間の休薬期間をおく。別のスタチンの再投与を試みる前に、もう一度評価を行う。カテゴリーA、Bであれば新たなスタチンによる治療開始が可能であるが、カテゴリーC、Dに悪化するようであればスタチン治療を中止する。
③カテゴリーC:血清CK正常上限10倍以上かつSAMSなし、あるいは血清CK正常上限4倍以上、正常上限10倍未満かつSAMSあり。中等度の筋有害事象である。スタチン継続の必要性が高い場合にはSAMSを許容できれば、スタチンを継続、あるいは減量して継続することが可能である。筋有害事象が増悪する可能性が高いと判断される場合は2~4週間あるいはそれよりも短い間隔で再度評価を行う。カテゴリーA、Bに改善すれば治療継続可能であるが、カテゴリーC、Dであれば治療は中止する。患者がSAMSを許容できない場合、中止し4~6週間の休薬期間をおく。別のスタチンの再投与を試みる前に、もう一度評価を行う。カテゴリーA、Bに改善すれば新たなスタチンの治療開始が可能であるが、カテゴリーC、Dであればスタチン治療を中止する。その後の脂質管理については脂質代謝専門医へコンサルトする。
④カテゴリーD:血清CK正常上限10倍以上かつSAMSあり。重篤な筋有害事象である。すぐにスタチンを中止し、横紋筋融解症やミオパチーに進行する危険に注意する。特に横紋筋融解症を発症している場合には直ちに治療を開始する。第2のスタチン投与を含む今後の脂質管理については脂質代謝専門医へコンサルトする。

〈重篤副作用疾患別対応マニュアル 横紋筋融解症 平成18年11月〉2)
●本剤の筋痛は用量依存性の要素が認められる場合もあり、減量あるいは中止が必要か慎重に判断する必要がある。筋毒性の程度にはかなりの個人差があり、筋痛、筋けいれん、筋力低下の組み合わせのほか、横紋筋融解症にいたるもの、CK上昇のみで症状のないものなど程度は様々である。またCK上昇がなくとも筋生検上、異常筋組織が証明される場合や筋萎縮、筋力低下を生じる場合があり注意が必要である。
●また、四肢末梢の違和感をともなう場合、またはCK上昇がない筋力低下の中には、HMG-CoA還元酵素阻害薬による末梢神経障害によるものがあることには、十分な注意が必要である。
●さらに、本剤は横紋筋融解以外の筋疾患が発症するきっかけになる場合が知られており、多発筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎、MELASなどのミトコンドリアミオパチー、McArdle病、CPT欠損症、悪性高熱などがあげられている。本剤を中止しても症状が軽快しない場合には、もう一度診断について検討する必要がある。
●治療に関しては、軽症といえども筋症状が出た段階で、HMG-CoA還元酵素阻害薬を中止あるいは減量することがまず必要である。その後の用量については、症例ごとに適応を考えて判断する必要がある。横紋筋融解症が疑われた場合には、できるだけ早く中止する。腎機能障害がある場合には、初期においては輸液により腎保護を図ることなど、一般の横紋筋融解症の治療に準ずる。

*1 スタチン関連筋症状(SAMS:statin-associated muscle symptoms)とは、スタチンが原因となって出現する筋症状のことで、筋肉の痛み、つり、こわばり、違和感などあらゆる筋肉症状が含まれます。

引用文献:
1)日本動脈硬化学会(編):スタチン不耐に関する診療指針2018 日本動脈硬化学会,2018
2)厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 横紋筋融解症 平成18年11月:12-13

他の質問を検索する

キーワードを入力して、検索を押すと関連するQ&Aが表示されます。